目次
広告基準と標ぼう可能な効能効果のまとめ
商品の素晴らしさを伝えたい気持ちが強くなるがゆえに、つい誇大な表現をしてしまうことがあるかもしれません。
化粧品広告における表現は薬機法をはじめ、関連する法律で規制されています。
そこで、化粧品に関連する法律、取り扱いについて解説していきます。
化粧品の定義
薬機法第2条第3項
この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。
引用 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
化粧品の具体例として、基礎化粧品、ヘアトニック、歯磨き、シャンプー、リンス、入浴剤などが該当します。
化粧品の分類
化粧品は2つに分けられます。
①薬用化粧品
②一般化粧品
①薬用化粧品
・医薬部外品に含まれる
・予防効果を記述できる
ただし、化粧品は「治す」わけではありません。
たとえ治ることが事実であったとしても、広告上は「予防する」としか表現することはできません。
また、化粧品としての効果もアピールすることができます。
②一般化粧品
・薬用化粧品以外の化粧品
化粧品に関連する法律
化粧品の取り扱いにおいて注意すべき法律は3つあります。
①薬機法
②景品表示法
③特定商取引法
その他、医薬品等適正広告基準や化粧品等の適正広告ガイドラインにも注意していかなければなりません。
化粧品で標ぼう可能な効能効果
頭皮・毛髪について
(1)頭皮、毛髪を清浄にする。
(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4)毛髪にはり、こしを与える。
(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。
(6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
(7)毛髪をしなやかにする。
(8)クシどおりをよくする。
(9)毛髪のつやを保つ。
(10)毛髪につやを与える。
(11)フケ、カユミがとれる。
(12)フケ、カユミを抑える。
(13)毛髪の水分、油分を補い保つ。
(14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。
(15)髪型を整え、保持する。
(16)毛髪の帯電を防止する。
皮膚について
(17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。
(19)肌を整える。
(20)肌のキメを整える。
(21)皮膚をすこやかに保つ。
(22)肌荒れを防ぐ。
(23)肌をひきしめる。
(24)皮膚にうるおいを与える。
(25)皮膚の水分、油分を補い保つ。
(26)皮膚の柔軟性を保つ。
(27)皮膚を保護する。
(28)皮膚の乾燥を防ぐ。
(29)肌を柔らげる。
(30)肌にはりを与える。
(31)肌にツヤを与える。
(32)肌を滑らかにする。
(33)ひげを剃りやすくする。
(34)ひがそり後の肌を整える。
(35)あせもを防ぐ(打粉)。
(36)日やけを防ぐ。
(37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
香りについて
(38)芳香を与える。
爪について
(39)爪を保護する。
(40)爪をすこやかに保つ。
(41)爪にうるおいを与える。
唇について
(42)口唇の荒れを防ぐ。
(43)口唇のキメを整える。
(44)口唇にうるおいを与える。
(45)口唇をすこやかにする。
(46)口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。
(47)口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
(48)口唇を滑らかにする。
オーラルケアについて
(49)ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(50)歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(51)歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(52)口中を浄化する(歯みがき類)。
(53)口臭を防ぐ(歯みがき類)。
(54)歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(55)歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
皮膚について
(56)乾燥による小ジワを目立たなくする。
注意事項
注1)例えば、「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。
注2)「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。
注3)( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するものである。
化粧品には、事実であれば表現できる効能効果が56個決まっています。
広告制作において、言い換え表現はOKとなっています。
(例)
肌を柔らげる→肌をふっくらさせる
皮膚のうるおいを与える→うるおいあふれる肌に
薬用化粧品とは
薬用化粧品は、日本化粧品工業連合会において、以下のように定められています。
「薬用化粧品」は化粧品としての期待効果に加えて、肌あれ・にきびを防ぐ、美白、デオドラントなどの効果を持つ「有効成分」が配合され、化粧品と医薬品の間に位置する「医薬部外品」に位置づけられています。
「化粧品」と「薬用化粧品」の大きな違いは「有効成分」が配合されているか、いないかということです。
「薬用化粧品」の場合、容器や外箱に「医薬部外品」と表示されています。
引用 化粧品と薬用化粧品
薬用化粧品の効能効果
種類 | 効能・効果 |
---|---|
1.シャンプー | ふけ・かゆみを防ぐ。 毛髪・頭皮の汗臭を防ぐ。 毛髪・頭皮を清浄にする。 毛髪をすこやかに保つ。※ 毛髪をしなやかにする。※ ※二者択一 |
2.リンス | ふけ・かゆみを防ぐ。 毛髪・頭皮の汗臭を防ぐ。 毛髪の水分・脂肪を補い保つ。 裂毛・切毛・枝毛を防ぐ。 毛髪・頭皮をすこやかに保つ※ 毛髪をしなやかにする。※ ※二者択一 |
3.化粧品 | 肌あれ・あれ性。 あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ。 油性肌。 かみそりまけを防ぐ。 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。 日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ。 肌をひきしめる。肌を清浄にする。肌を整える。 皮膚をすこやかに保つ。 皮膚にうるおいを与える。 |
4.クリーム、乳液、ハンドクリーム、化粧用油 | 肌あれ。あれ性。 あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを 防ぐ。 油性肌。 かみそりまけを防ぐ。 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。 日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ。 肌をひきしめる。肌を清浄にする。肌を整える。 皮膚をすこやかに保つ。皮膚にうるおいを与える。 皮膚を保護する。皮膚の乾燥を防ぐ |
5.ひげそり用剤 | かみそりまけを防ぐ。 皮膚を保護し、ひげをそりやすくする。 |
6.日やけ止め剤 | 日やけ・雪やけによる肌あれを防ぐ。 日やけ・雪やけを防ぐ。 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。 皮膚を保護する。 |
7.パック | 肌あれ。あれ性。 にきびを防ぐ。 油性肌。 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。 日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ。 肌をなめらかにする。 皮膚を清浄にする。 |
8.薬用石けん (洗顔料を含む) | <殺菌剤主剤> 皮膚の清浄・殺菌・消毒。 体臭・汗臭及びにきびを防ぐ。 <消炎剤主剤のもの> 皮膚の清浄、にきび・かみそりまけ及び肌あれを防ぐ。 |
殺菌・消毒という表現が可能なのは、薬用せっけんの場合のみです。
たとえば、アルコールやエタノールが入っていても、一般化粧品であれば、殺菌・消毒作用を標ぼうすることはできません。
医薬部外品とは
薬機法第2条第2項
この法律で「医薬部外品」とは、次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なものをいう。
1 次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
ロ あせも、ただれ等の防止
ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛2 人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物(この使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
3 前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物(前二号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの
引用 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
医薬部外品の効能効果
医薬部外品の種類 | 使用目的 ※使用目的の範囲と原則的な剤型 | 主な剤型 ※使用目的の範囲と原則的な剤型 | 効能又は効果の範囲 |
---|---|---|---|
1.口中清涼剤 | 吐き気その他の不快感の防止を目的とする内用剤である。 | 丸剤。板状の剤型、トローチ剤、液剤。 | 口臭、気分不快。 |
2.腋臭防止剤 | 体臭の防止を目的とする外用剤である。 | 液剤、軟膏剤、エアゾール剤、散剤、チック様のもの。 | わきが(腋臭) 、皮膚汗臭、制汗。 |
3.てんか粉剤 | あせも、ただれ等の防止を目的とする外用剤である。 | 外用散布剤。 | あせも、おしめ(おむつ)かぶれ、ただれ、股ずれ、かみそりまけ。 |
4.育毛剤(養毛剤) | 脱毛の防止及び育毛を目的とする外用剤である。 | 液剤、エアゾール剤。 | 育毛、薄毛、かゆみ、脱毛の予防、毛生促進、発毛促進、ふけ、病後・産後の脱毛、養毛。 |
5.除毛剤 | 除毛を目的とする外用剤である。 | 軟膏剤、エアゾール剤。 | 除毛。 |
6.染毛剤(脱色剤、脱染剤) | 毛髪の染色、脱色又は脱染を目的とする外用剤である。 毛髪を単に物理的に染毛するものは医薬部外品には該当しない。 | 粉末状、打型状、エアゾール、液状又はクリーム状等。 | 染毛、脱色、脱染。 |
7.パーマネント・ウェーブ用剤 | 毛髪のウェーブ等を目的とする外用剤である。 | 液状、ねり状、クリーム状、エアゾール、粉末状、打型状の剤型。 | 毛髪にウェーブをもたせ、保つ。くせ毛、ちぢれ毛又はウェーブ毛髪をのばし、保つ。 |
8.衛生綿類 | 衛生上の用に供されることが目的とされている綿類(紙綿類を含む)である。 | 綿類、ガーゼ。 | 生理処理用品については生理処理用、清浄用綿類については乳児の皮膚・口腔の清浄・清拭又は授乳時の乳首・乳房の清浄・清拭、目、局部、肛門の清浄・清拭 |
9.浴用剤 | 原則としてその使用法が浴槽中に投入して用いられる外用剤である。(浴用石鹸は浴用剤には該当しない。) | 散剤、顆粒剤、錠剤、軟カプセル剤、液剤。粉末状、粒状、打型状、カプセル、液状等。 | あせも、荒れ性、打ち身(うちみ)、くじき、肩の凝り(肩のこり)、神経痛、湿しん(しっしん)、しもやけ、痔、冷え性、腰痛、リウマチ、疲労回復、ひび、あかぎれ、産前産後の冷え性、にきび。 |
10.薬用化粧品(薬用石けんを含む) | 化粧品としての使用目的を併せて有する化粧品類似の剤型の外用剤である。 | 液状、クリーム状、ゼリー状の剤型、固型、エアゾール剤。 | 別掲(※下記「4.薬用化粧品の効能・効果の範囲」参照) |
11.薬用歯みがき類 | 化粧品としての使用目的を有する通常の歯みがきと類似の剤型の外用剤である。 | ペースト状、液状、液体、粉末状、固型、潤製。 | 歯を白くする、口中を浄化する、口中を爽快にする、歯周炎(歯槽膿漏)の予防、歯肉炎の予防、歯石の沈着を防ぐ。むし歯を防ぐ。むし歯の発生及び進行の予防、口臭の防止、タバコのやに除去、歯がしみるのを防ぐ。 |
12.忌避剤 | はえ、蚊、のみ等の忌避を目的とする外用剤である。 | 液状、チック様、クリーム状の剤型。エアゾール剤。 | 蚊成虫、ブユ(ブヨ)、サシバエ、ノミ、イエダニ、トコジラミ(ナンキンムシ)等の忌避。 |
13.殺虫剤 | はえ、蚊、のみ等の駆除又は防止の目的を有するものである。 | マット、線香、粉剤、液剤、エアゾール剤、ペースト剤の剤型。 | 殺虫。はえ、蚊、のみ等の衛生害虫の駆除又は防止。 |
14.殺そ剤 | ねずみの駆除又は防止の目的を有するものである。 | 殺そ。ねずみの駆除、殺滅又は防止。 | |
15.ソフトコンタクトレンズ用消毒剤 | ソフトコンタクトレンズの消毒を目的とするものである。 | ソフトコンタクトレンズの消毒。 |
医薬部外品においては、表に記述されている効能効果で認められている範囲でしか表現できません。
医薬品等適正広告基準
医薬品等適正広告基準とは、薬機法第66条の具体的な解釈を示した広告基準です。
対象は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品です。
適正広告基準の注意点
1.製造方法の事実に反する認識を与える誉めすぎは禁止
2.効能効果・安全性を保証する表現の禁止
3.効果発現までの時間・効果時間を保証するものは禁止
4.医療関係者の推薦の禁止
5.体験談で効能効果・安全性を示すのは禁止
6.他社製品の誹謗中傷は禁止
7.副作用の表現は禁止
8.効果の優位性の強調は禁止
9.効能効果・安全性の最大級の表現の禁止
化粧品等の適正広告ガイドライン
日本化粧品工業連合会が作成しています。
広告基準の、より細かいルールが定められています。
適正広告ガイドラインの注意点
1.「〇〇専用」という表現の禁止
2.特許に関する表現は事実であっても禁止
3.「疲れ」などの化粧品の効能効果の範囲を逸脱したような表現の禁止
まとめ
化粧品の記事・広告制作において決められているルールはたくさんあります。
誇大広告についての課徴金は、2021年8月からは最大で過去3年分の売上の4.5%に引き上げられました。
故意でなくとも、ルール違反だと見なされる行為は、利益を大きく失う可能性があります。
今後、広告作成において薬機法・その他関連法規は必須の知識と言えそうです。
当社の広告の文章・画像チェック機能により、薬機法対応の表現になっているかの確認を行うことは、製造者・販売者様の利益をお守りすることにつながります。
さらに、言い換え表現により訴求力を落とさず商品の魅力をお伝えできることを、お約束いたします。