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2022.01.10

景品表示法違反による措置命令と課徴金事例が増加

 

 

景品表示法とは?

景品表示法の正式名称は、当景品類及び不当表示防止法といいます。

 


 

第一条 

 

この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。

 

引用 不当景品類及び不当表示防止法

 


 

 

景品表示法は、「不当な表示を禁止」するための法律です。

消費者は、より良い商品やサービスを求めています。

ところが、実際より良く見せるための表示が行われたり、過大な景品を付けた販売が行われると、消費者に誤解を与えてしまいます。
結果として、実際には質の良くない商品やサービスを買ってしまい、消費者が不利益を被るおそれがあります。

 

ですので、景品表示法により商品やサービスの品質、内容、価格等の表示を偽ることを厳しく規制しています。
また、景品類の最高額を制限することなどにより、過大な景品類の提供を防ぎ、
消費者がより良い商品やサービスを、自主的かつ合理的に選べる環境を守ってます。

 

 

不当な表示の禁止

 


 

第五条 

 

事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。

 

一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの

 

二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの

 

三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの

 

引用 不当景品類及び不当表示防止法

 


 

不当な表示は3つあります。

 

 

 

優良誤認表示

品質や規格などについて、実際のモノよりも「すごくいい!」と思わせてしまう表示は禁止されています。

 

具体的には、商品やサービスの品質を、実際よりも優れていると偽って表現したり、競争業者が販売する商品やサービスよりも特に優れているわけではないのに、あたかも優れているかのように偽って表現する行為は優良誤認表示に該当します。

 

なお、故意に偽って表示するつもりはなく誤って表示してしまった場合でも、優良誤認表示に該当する場合は、景品表示法により規制されることになるので注意が必要です。

 

ここで、表示とは、業者がお客様を誘引するための手段のことであり、広告その他の、表示するためのあらゆる手段が対象です。

 

具体的には、 

 

・商品、容器、包装の表示
・見本、散らし、パンフレット、ダイレクトメール、FAX、口頭
・ポスター、看板、電車、自動車の広告
・新聞、雑誌、テレビやラジオ放送などの広告
・インターネットの表示

 

以上のような媒体での広告における表示のことを言います。

 

 

優良誤認表示の実例

 

 

・短期間で容易に著しい痩身効果、痩身後の体重を維持できるかのような表現

 

・実際の販売価格に比べて安いかのように表示していたが、その価格での販売実績はなし

 

・対象商品を摂取することにより、認知症、ガン等の各種疾病を予防する効果等が期待できるかのように示す表示

 

・国産有名ブランド牛の肉であるかのように表示していたが、実はブランド牛ではない国産牛肉だった

 

 

 

有利誤認表示

価格などの取引条件について、実際のところよりも「お買い得!」となる表示は禁止されています。

 

具体的には、商品やサービスの取引条件について、実際よりも有利であると偽って表現したり、競争業者が販売する商品やサービスよりも特に安いわけでもないのに、あたかも著しく安いかのように偽って表現する行為は有利誤認表示に該当します。

 

なお、故意に偽って表示するつもりはなく誤って表示してしまった場合であっても、有利誤認表示に該当する場合は、景品表示法により規制されることになるので注意が必要です。

 

有利誤認の実例

 

・外貨預金の受取利息を手数料抜きで表示したが、実質的な受取額は表示の1/3以下になっていた。

 

・今だけの期間限定で返金保証キャンペーンを実施していたが、表示期間を過ぎた後も、同様のキャンペーンを続けていた。

 

 

 

 

 

景品表示法違法行為を行った場合

 

不当な表示や、過大な景品類の提供が行われ景品表示法に違反する疑いがある場合、消費者庁は、関連資料を収集し、事業者への聞き取りなどの調査を実施します。

 

調査の結果、違反行為が認められた場合は、消費者庁は、当該行為を行っている事業者に対して「措置命令」を行います。

 

 

 

措置命令

 

 


 

第7条 

 

内閣総理大臣は、第4条の規定による制限若しくは禁止又は第5条の規定に違反する行為があるときは、当該事業者に対し、その行為の差止め若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずることができる。その命令は、当該違反行為が既になくなつている場合においても、次に掲げる者に対し、することができる。

 

a 当該違反行為をした事業者
b 当該違反行為をした事業者が法人である場合において、当該法人が合併により消滅したときにおける合併後存続し、又は合併により設立された法人
c 当該違反行為をした事業者が法人である場合において、当該法人から分割により当該違反行為に係る事業の全部又は一部を承継した法人
d 当該違反行為をした事業者から当該違反行為に係る事業の全部又は一部を譲り受けた事業者

 

2 内閣総理大臣は、前項の規定による命令に関し、事業者がした表示が第五条第一号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該表示をした事業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該事業者が当該資料を提出しないときは、同項の規定の適用については、当該表示は同号に該当する表示とみなす。

 

 

引用 不当景品類及び不当表示防止法

 


 

措置命令とは、不当表示により一般消費者に与えた誤認の排除、再発防止策の実施、今後同様の違反行為を行わないことなどを命じます。

 

違反の事実は認められない場合でも、違反のおそれのある行為がみられた場合は指導の措置がとられます。

※消費者庁および各都道府県知事が権限を持ちます。報道発表あり。

 

措置命令に従わない場合、事業者の代表者は、2年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはこの両方が科されます。
また、法人に対し、3億円以下の罰金が科されます。

 

 

課徴金納付命令

 


 

第8条 

 

事業者が、第5条の規定に違反する行為(同条第3号に該当する表示に係るものを除く。以下「課徴金対象行為」という。)をしたときは、内閣総理大臣は、当該事業者に対し、当該課徴金対象行為に係る課徴金対象期間に取引をした当該課徴金対象行為に係る商品又は役務の政令で定める方法により算定した売上額に100分の3を乗じて得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。ただし、当該事業者が当該課徴金対象行為をした期間を通じて当該課徴金対象行為に係る表示が次の各号のいずれかに該当することを知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠つた者でないと認められるとき、又はその額が150万円未満であるときは、その納付を命ずることができない。

 

1・2(略)
2・3(略)

 

消費者庁は、課徴金対象行為(商品・サービスの取引について、優良誤認表示or有利誤認表示をする行為)をした事業者に対し、事業者に弁明の機会を付与した上で、課徴金対象行為に係る商品・サービスの「売上額」に3%を乗じた金額を賦課することができます。

引用 景品表示法違反行為を行った場合はどうなるのでしょうか? 消費者庁

 


 

景品表示法を守るためのポイント

 

表示する内容が事実に基づいたもので、客観的な根拠があるかどうかが重要です。

 

たとえば、ダイエットの広告において、

 

「たったの1か月で大幅ダイエットに成功!」

 

「何もしなくてもヤセました!」

 

「お腹と太ももがこんなにほっそり!」

 

 

など、根拠がないのに容易に痩せられる効果が得られるかのような表示をすると、「不当表示」になってしまいます。

 

根拠の基準

根拠の基準は、以下の2点を満たしていることが条件となります。

 

①資料が客観的に実証されたものであること

 

②表示された効果・性能と資料によって実証された内容が適切に対応していること

 

 

ここで言う「客観的に」とは、

 

・専門家の見解や学術文献で一般的に認められているもの

 

・第三者による試験や調査を行ったデータ

 

・一般的な試験方法に基づく自社試験を行ったデータ

 

論文で発表されるぐらいのレベルのものである、ということです。

 

ですので、上記のダイエットの広告において、

 

どれくらいの期間で
どれくらいの運動量で
どれくらいの食事量で
どれくらい痩せられたか

 

などの調査を行い、詳しいデータの表示も必要ということです。

 

 

景品表示法で気をつけるべきポイント

二重価格表示

二重価格表示とは、景品表示法が規制している不当な表示の一種で、
「販売価格よりも高い過去の販売価格を併記するもの」です。

 

二重表示価格のOK・NGの考え方

過去8週間のうち、4週間以上の販売実績があれば、過去の販売価格として表示することができます。
実際に販売した最後の日から2週間以上経過している場合には、過去の販売価格として表示することは、原則としてできません。
販売開始から8週間未満の時は、販売期間の過半かつ2週間以上の販売実績があれば、過去の販売価格として表示することができます。
販売期間が2週間未満のときは、過去の販売価格として表示することは原則としてできません。

 

引用 https://test-store-info.yahoo.co.jp/editor/j/439.html#3

 

 

打消し表示

「打消し表示に関する実態調査報告書」によりますと、適切な「打消し表示」をしなければ、景品表示法上の不当表示になる可能性があります。

たとえば、

 

・文字が小さい

 

・強調表示から離れている

 

・表示されている時間が短い

 

・表示内容に問題がある

 

などがあてはまる場合、優良誤認になる可能性があります。

 

打消し表示 7つの型

 

分類名内容強調表示打消し表示
例外型例外(別条件型及び追加料型にかかるものを除く)がある旨の注意書き入院、手術、通院の保障が、一生涯続いて安心。何回でも受取OK!・「医療行為、医療機関及び適応症などによっては、給付対象とならないことがあります」
体験談型体験談に関する注意書き楽しくダイエット!
毎日すっきり起きて、体重が5kg減る、着られなかった服がぶかぶかになり、周りからほめられるようになりました。
・「個人の感想であり、効果には個人差があります」
・「個人の感想であり、効果を保証するものではありません」
・「個人の感想であり、効果、効能を表すものではありません」
別条件型何かの別の条件が必要である旨を述べる注意書き何かの別の条件が必要である旨を述べる注意書き・「〇〇のインターネット契約が3年間必要です」
・「〇〇カードを同時に申し込みされたお客様限定」
非保証型(体験談を記述せずに)効果、性能等には個人差がある旨や、効果、性能等保証するものではない旨を述べる注意書き10時間効果が持続!・「結果には個人差があります」
・「気持ちを表すもので、効果効能を保証するものではありません」
変更可能性型予告なく変更する可能性がある旨を述べ
る注意書き
印刷パック料金(用紙、印刷込み、梱包込み)3000円!(税抜き)・「価格・内容は予告なく変更する可能性があります」
追加料金型強調表示で示した代金以外の金銭が追加で必要になる旨を述べる注意書き毎月780円!・「別途、初期費用がかかります」
・「別途、端末代金が必要になります」
試験条件型一定の条件下での試験結果、理論上の数値等である旨を述べる注意書き〇GBの高速通信を実現!・「ご利用の対応機器が〇〇規格対応の場合です」

 

 

引用 打消し表示に関する実態調査報告書(概要)

 

 

打消し表示のまとめ

 

紙媒体の広告

打消し表示は、強調表示に隣接して表示し、文字の多きさ、色などから一般消費者が両方の表示を一体のものとして認識できるように表示しましょう。

 

文脈にも工夫が必要です。

 

動画広告

文字のみの表示では認識されない可能性が高いです。

 

ですので、商品やサービスの選択にかかわる重要な内容を表示する場合には、文字と音声で説明することが求められます。

 

スマートフォン広告

大きい文字だけを拾い読みする傾向があります。

 

ですので、打消し表示は強調表示付近に、大きい文字サイズで表示することが求められます。

 

 

まとめ

広告制作時には、景品表示法の措置命令の最新の事例をフォローしておくことはもちろんですが、広告に関係する法律に規制されない表現で商品の魅力を伝えていくことがポイントになってきます。

 

2016年以降、措置命令が出されたり、課徴金が科せられる件数が増えてきています。
消費者庁のWebにて事業者名も公表されるので、売上が下がるだけでなく、社会的信用が落ちることにより倒産のリスクにも匹敵します。

 

広告は全体の流れから判断されるので、文章だけでなく画像も広告表現の規制を受けます。

 

規約違反の対策として、LP、販売ページ、広告、メイン画像等に対するチェック機能は、事業主・販売者様の利益を守るための画期的なシステムといえるでしょう。

 

また、言い換え表現の提案を実現することにより、訴求力を落とさず商品の魅力をお伝えできることをお約束いたします。